小説


      SMF小説

                                    異空の神

第1巻




  第2章

  異空転移


 エリザベス続き

エリザベスが溢れそうな涙をこらえながらブライアンを見つめる。

やっとのことで喉から振り絞られた声はふるえていた。

「貴方のお話もゆっくり聞かせて欲しいわ、
さっき聞かされたお話はあまり素直に肯けるお話じゃあないし、
もちろんあなたは亡くなった筈の夫のデイブ、 デイブ・アンダーソンでないことは確かよ」
「でもそれにしてももっと納得のいくお話が聞かれていい筈よ」

「とりあえず私、シャワーを浴びる、貴方も隣のシャワーブースを使って欲しいわ」

ブライアンはニューヨークのあのホテルでは洗い落とせなかった気分の、丸2日以上のあかを落とし、

ミントの香りのリステリンで喉の奥まですすいでいた。

実際はニューヨークで途方に暮れはじめてまだ丸1日なのに大変な旅の行程をひとつこなし、
やっと一息いれられる気分だった。

すぐそばに裸のエリザベスが居ることすら意識から追い払われていた。

しかし「エリザベスとの出会いが何かの罠ということはないだろうか」?

という一瞬の閃きがブライアンにとんでもない行動を起こさせた。

ブライアンはすばやくシャツをつけズボンを履くと
脱ぎ捨てたジャケットのなかから取り出した銃をズボンのポケットに滑り込ませる。
弾丸は抜きジャケットにもどしておいた。

ブライアンを探すように、ブースを出たエリザベスはもう真っ白なタオル地のガウンを羽織っていた。

すばやく後ろに回ったブライアンが背後からエリザベスを抱きしめる、
右手には銃が握られていた。

その瞬間エリザベスが全身の力を抜いたのが感じられる。

乳房を下から支えるように抱きとめなければ、その場に屑折れてしまいそうだった。

「貴方が、ただのブライアンなら銃をもっている筈がないわ」
「あの飛行機は事情があるということで、徹底的に調べられたのよ」

「貴方は誰なの、私を抱くだけなら、何も問題ない事がわかっていて・・・・」

「銃を突きつけなければ、できないようなことをするつもりなの」

「恐ろしいサディストなの・・・私・・恐くないわ、
でもどんな目に私を合わせるつもりかわからないけれど、
荒々しくしないで、いきなり殺すのもやめて、せめて時間をかけていたぶってからにして・・
お願い・・あなたをここまで連れてきてしまった私は、どんな罰も受ける覚悟だったんだから」

エリザベスが泣いているのがわかった、

恐ろしさに震えた泣き声でもなかった。

「心配だったら私をベッドに縛り付ければいい、マットの下、4隅にベルトが隠れているわ」

何故かエリザベスの心に恐怖は生まれなかった。
銃を持ち出すことはなくても芝居がかった荒々しさで抱きすくめられ

ベッドに投げ出される、あの激しい感じで始まる愛の仕草はデイブと全く同じだったのだ。

エリザベスの全身にデイブとのときと全くかわらない悦びの予感が拡がっていく。

ブライアンにはそんなエリザベスの状況が伝わらなかった。
まだ信じられない異世界での事のなりゆき、
出来事のなかで警戒感が全身を支配していたからだった。

ブライアンは用心深くエリザベスの両腕を背後に回させる、

肩からガウンを下に降ろさせ、ガウンのひもを左右の肘に巻き、

それぞれ結び目をつくると身体の幅以上には動かせない状態にしていた。

エリザベスのあまりに白く豊かな乳房が
薄暗く調整された照明に妖しくエロティックな生き物のようにゆれ
ブライアンの体の中心の何かにいきなり炎を燃え立たせていた。

エリザベスは全く抵抗することもなかった。

ようやくブライアンがいまやほとんど全裸で両腕を拘束されてしまったエリザベスに対し警戒を解くと、
エリザベスがささやいていた。

「貴方はいつも私のお乳を後ろからしっかり掴んで揉みしだくの・・貴方も裸に・・」
完全に力を抜き身をあずけるエリザベスを
ブライアンは自ら衣服を取り去るのももどかしく背後から抱きしめる。

あまりにも豊かでセクシーな柔らかさ、ずっしりと重く感じるほどの乳房だった。

ブライアンはエリザベスを抱き上げるとダブルベッドの黒いタオル地のシーツのうえに横たえた。

小さくのけ反るように悶えるエリザベスは素晴らしかった。

象牙のような白さの滑らかな肌、
想像以上に豊かで、あまりにも大きくエロティックな二つの果物を思わせる乳房も、
素晴らしい全身のバランスを壊してはいなかった。

その午後エリザベスが数え切れないほど絶頂に達したのはブライアンにもわかった。

エリザベスが紐を解くよう哀願するとブライアンは「抵抗するな」とささやき
エリザベスの尻を抱きしめ、下腹部に顔をうずめていった。

舌がエリザベスのエロティックな口ざわりの花弁を捕らえ歯でゆっくりと噛み込んでゆく、
「アア・・ウ・ウ・・」と呻きながらもエリザベスはこらえている、

ブライアンの歯が秘肉を傷つける寸前
というところでエリザベスは解放された。
紐をほどきやさしく抱きしめてきたブライアンの腕のなかで、エリザベスは本当に泣いていた。

「やっぱり、ほんとうに貴方は帰ってきたのよ、何もかも同じなの・・・」

エリザベスが一瞬全身を固くし小さく叫ぶと急に力を抜いた。

二人ともいつの間にか眠りにおちたようだった。
ほとんど同時に二人が目覚め、また夢中で唇をあわせたとき、
コンソールの写真立てと並べられた、豪華な金色の置時計は6時をさしていた。

「ダウンタウンに日本のホテルがなかったかい、なかに美味しいスシバーがあるような」
ブライアンが昼間の作り話の手前一生懸命記憶を呼び覚ますように口を開く。

「オーケーよ私はあまり行ったことはないの、
でも貴方と一緒に私やデイブが
顔を知られているお店にはまだちょっといけないから」
「タクシーを呼ばせるわ」
「ここの住人はお互い殆ど知らないし、フロントマンも最近変わったばかりで、
夫の顔を知らないから、一緒に玄関からどうどうと出ましょう」

「そこのクローゼットから好きな服を選んで着てくれない、
貴方にぴったりのサイズ、間違いないわ」
エリザベスに促され、ブライアンはここまでの、自分の服装を思い描く、
「ダウンタウンの夜の食事には着替える必要があるな」と感じ、
クローゼットの衣服を物色した。
しゃれた、変わり織りの絹のようにみえる白いズボンにラフな濃い紺のジャケットをあわせ
その下にはスポーツシャツという姿でクローゼットの鏡に向かった、
合いそうな感じのカジュアルな靴もそろえると、これでいいかな、
とつぶやきながらエリザベスを探した。
彼女も口紅を治し、ほとんど黒に近い紫のワンピースに着替え、
鏡にむかって顔をなおしていた。
素顔でかまわないと言いたいほど美しい顔は、さらに輝いてみえていた。

エリザベスは1階ロビーに電話をいれ「車は5分で来るそうよ」と言うと、
またブライアンにすがるように抱きついてきた。
「腹が減っては戦が出来ぬ、日本のことわざね、仲のよかった日本人のスチュワーデスから教わったの」

ダウンタウンへ向かう車の中で、
なにも言わずエリザベスと手をにぎりあいながら、
ブライアンの脳裏に種々の思いが交錯した
「いつまで記憶喪失を装うのか、?
エリザベスに真相を話すようなことがあるのか、
もう一つ 俺の『彼女をとりこにしてやる』と一瞬思った魔法を解いたとしたら、 どんな情況が現れるのか」

ホテルのスシバーは予約せずに入れる情況だった、
もし駄目ならバーラウンジで軽食をとってもいいと、
タクシーのなかでエリザベスとも話していたが、時間が早かったせいかまだ余裕があり、
ちょっと濃厚な味わいだが好きだった日本のビールに、とろ、
うに、赤貝と久しぶりに本格的なすしの味を堪能した。

「あなた、ここに前に来たことがあるのかしら、記憶が少し戻っているの?」

「注文のしかたも・・・・」
「記憶が戻って、奥さんとか恋人のところに急に戻るって言いかねない、・・・私恐いわ」
と言いながらエリザベスは不安そうにブライアンの顔をのぞきこむ。

「実は、記憶が本当にもどったとしても、
僕の戻る場所はなさそうなんだ、本当に訳がわからないんだ」
といいながら携帯を取り出しエリザベスに差し出す。

「これは、どうも僕のものに違いないんだが、携帯に残っているどの番号にも全く繋がらないんだ」
エリザベスは素早くアマンダとの、発信、着信記録を見つけ、
ブライアンが止めるのもきかず、自分の携帯に番号を打ち込み発信ボタンを押していた。
「おかけになった電話番号は現在つかわれておりません」
という局のアナウンスがもれてくる、
そしていきなり「これ変よ電話番号の桁数は同じだけれど、
アルファベットの表示が最後の4桁の前にないもの」
「あなた何処の世界から来たのかしら、不思議な人」
と耳元でささやく。
「この世界では電話番号にアルファベットを組み合わせているのだ」
ブライアンは改めて自分が異世界に飛び込んでしまったことを再確認できた気持ちだった。

後でわかったことだが、この世界の電話機のボタンでは数字は瞬間押し、
1秒以上押すとAからJまでのアルファベットとなっているのだ。

もう十分おなかいっぱいと二人で顔を見合わせると「戦の準備ができたかしら、
と悪戯そうにブライアンを見やる「冗談よ、・・」
と言ったエリザベスの顔は冗談に見えなかった。

「ここは、僕がキャッシュで払う」というと、
エリザベスの制止を振り切ってブライアンがレジに向かって合図をする
、店員がすぐに勘定書きを手に近づいてきた。

財布を持たないブライアンが犯したミスはその後すぐに二人に一寸した災いをもたらすことになった。
ポケットから100ドル紙幣を鷲づかみにして見せてしまったのだ。

ビール、と冷酒でほろ酔いになった、ふたりは、正面玄関に向かわず、
ホテルの裏道に面した、タクシーもガードマンもいない非常口から表に出てしまったのだ。

ブライアンは「反対側に回らないとタクシーに乗れないわ、戻りましょう」
というエリザベスの声を無視し歩き出した。

ふたりがホテルの建物の角を曲がったところで、
3人の人影がまわりを取り囲むように現れる、
一人が「百ドル札をあんなに見せられちゃ、・・・余ってるようだからもらってやるよって、いいたくなるぜ」
と小声で言い右手に銃を構え、左手を差し出してくる。
大柄な男だった。ブライアンが「わかった、逆らわないから」
といいながら右、手の平で制するような仕草をすると、
その男は突然後ろ向きに宙をとび数メートル後ろに頭から落ちるように転がる、
残りの二人も殆ど同時にブライアンがわずかに掌を揺らすようにしただけで、
宙を飛びコンクリートの地面に転がっていた。

3人ともそのまま動かなかった、
ブライアンは何がなんだかわからなくなっているエリザベスの手をとり、
ホテルの玄関にまわると丁度、客待ちしていたタクシーに乗り込む、
エリザベスがアパートのアドレスを告げただけで二人とも口をひらくことがなかった。

結局ベッドルームのソファーに落ち着くまで二人のあいだに会話はなかった。




続き へ

異空の神 TOPへ

お節介親父へのメイルは
ここをクリック
keisei@sfkt01.com




  

H.Tanaka Copyright (C) All rights reserved

 


お節介親父の
   ホームページ PART T
    サイト案内
   



 Topページへのリンク




   1  趣味と買い物      2  子育て何が大切?       3 酒と肝臓       
   4ゴルフって趣味?      5   車とドライブ        6   趣味の散歩・・? 昭和記念公園

   7  デジタルカメラとビデオカメラ    8  仕事の相手は機械
                              じやないよ

   9  人生の大きな買い物 住まい選び  10 仕事の悩み・上司の命令  11 日本・日本人について



 アメリカで経験した
  考えさせられる

   12 笑い話1 サンフランシスコのチャイナタウン   13 笑い話2   夏ロサンゼルスは暑い

   14 笑い話3   マスターズゴルフ 大物タレント赤面



   宇宙を考える

   15 宇宙を考える1 宇宙                  16宇宙を考える 2 人類

   17  宇宙を考える 3 UFO               18 宇宙を考える4 タイムトラベル
 


    19 お節介親父の
                プロフィール